弁護士コラム

2009/05

副会長就任のご挨拶

阿部 泰典

 当事務所のホームページでは、今月よりコラム欄を設けることになりました。
当事務所の弁護士が持ち回りで書いていきます。初回は、阿部が担当します。

 私は、今年の4月1日より横浜弁護士会の役員である副会長に就任しております。
我々弁護士は、必ずどこかの弁護士会(東京や北海道には複数の弁護士会がありますが、基本的には各都道府県に一つです)に所属しなければ弁護士業務を行うことはできず、神奈川県下に事務所を構えている弁護士は横浜弁護士会に所属することになります。

 弁護士会の役員は、会長1名、副会長5名、監事2名で構成されております。任期はいずれも1年間です。副会長になると、副会長としての職務に時間を割かれてしまう結果、本来の弁護士業務を行う時間が減ってしまうため、私としては、副会長になるつもりはなかったのですが、今年度、会長に就任する予定の方が、私の所属する弁護士会の野球部の前監督で大変お世話になった方であり、その方から要請があったこと、先に副会長への就任が決まっていた司法修習同期の弁護士からも強い依頼があったことなどから、とても悩んだ結果、就任要請を受けることにしました。

 実際に就任してみると、7割くらいの時間が副会長の職務に割かれている気がします。そして、この副会長としての職務に対しては何の報酬もありません。
ところで、報酬がないと言えば、弁護士会には各種の委員会があります。人権擁護委員会、消費者問題対策委員会、法律相談センター運営委員会、刑事弁護センター運営委員会、地域司法計画委員会、法教育委員会、法科大学院支援委員会など、その他全部で50以上の委員会が横浜弁護士会にはあり、弁護士の使命である基本的人権の擁護や、司法や弁護士会が市民のみなさんにとって少しでも利用しやすくなるようにするための研究・活動が行われているのですが、これらの委員会活動も、すべて無給です。弁護士というと、高い報酬をとってお金儲けばかりしているのではないかと思われている市民の方もいらっしゃるかもしれませんが、かなりの時間を無給で活動しているのも弁護士なのです。確かに、すべての弁護士がこれらの委員会活動に参加している訳ではなく、一部の弁護士に負担が偏っている実情もあるため、横浜弁護士会では、こうした負担を公平にするための制度も今年の4月から実施しております。

 では、副会長がどんなことをしているかと申しますと、毎週月曜日の午後に理事者会(会長及び副会長5名による会議)があり、様々な事柄についての弁護士会としての方針決定をします。また、各副会長はそれぞれ週1回、日直の日が決まっており(私は木曜日です)、弁護士会の事務局から上がってくる文書の決裁や担当副会長への振り分け、また、市民の方からの横浜弁護士会に所属する弁護士に対する苦情への対応をします。さらに、各副会長は、10程度の委員会を担当しますので、出席が必要な委員会に出席することになります。

 弁護士大増員時代となり、自分の事務所をいかにして維持していくかを考えるだけでも大変なのに、市民はもちろん弁護士会や弁護士会に所属する弁護士のことも考えて職務を遂行しなければならず、精神的にもかなりしんどい職務と言えます。

 という訳で、この1年間、依頼者の方にはご迷惑をお掛けすることになるかもしれませんが(お電話をいただいたときの折り返しの電話が遅くなってしまうことが多くなるかもしれません)、ご依頼を受けました事件の処理につきましては支障が無いよう事務所全体で対応していく所存ですので、今後ともご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

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