弁護士コラム

2014/08

養育費をもらっていますか?

岩佐 理絵

 いまや夫婦の3組に1組が離婚をしているという現代社会において、当事務所にも離婚相談に来られる方はたくさんいらっしゃいます。

 離婚相談を受ける中でふと疑問に思ったのが、「離婚された女性達は、きちんと養育費をもらっているのだろうか」ということ。当事務所に相談に来られた方には、養育費をもらうことをお勧めしていますが、実際にはどれだけの女性が養育費をもらっているのでしょうか。

 離婚する世帯のうちの8割は、女性側が子どもを引き取るそうです。日本の母子世帯は123万8千世帯だそうですが、母子世帯の収入に占める養育費の割合はわずかに3%。このデータを見ると、養育費をもらっていない、あるいはごく少額しかもらっていない女性達がとても多いことがわかります。

 そもそも養育費とは何か。
それは、未成熟の子どもが自立するまでに要する費用のことです。親は、未成熟の子どもに対して扶養義務を負っていますので、この扶養義務に基づき、子どもに養育費を支払わなければなりません。
つまり、親子である以上、親は当然に養育費を支払う義務を負いますので、離婚した女性が元夫に養育費を請求すれば、よほどのことがない限り、その請求は認められるのです。

 では、なぜ請求しないのか。
日本では、夫婦の話し合いで離婚する協議離婚が9割を占めています。協議離婚の場合には、養育費の取り決めをしない場合が多いようです。
ある調査によれば、離婚の際、女性が元夫との間で養育費の取り決めをしなかった理由として以下のものが挙げられるそうです。

  1. 相手に支払う意思や能力がないと思った(48.6%)
  2. 相手と関わりたくない(23.1%)
  3. 取り決めの交渉をしたが、まとまらなかった(8.0%)
  4. 取り決めの交渉がわずらわしい(4.6%)
  5. 相手に養育費を請求できるとは思わなかった(3.1%)
  6. その他(12.6%)

 しかし、親である以上は養育費を支払う義務がありますので、支払う意思がない(①)としても当然支払わなければなりません。さすがに父親の収入が0であれば父親も支払うことができませんが、多少なりとも収入があれば、その収入に応じた金額を支払う義務が生じるのです。
また、相手と関わりたくない(②)、取り決めの交渉がまとまらなかった(③)、取り決めの交渉がわずらわしい(④)場合には、第三者に間に入ってもらうことが有効です。

 ただし、父親がどうしても支払わないとごねた場合には、裁判所での手続をとるなどして、強制的に支払わせるしかありません。法的手続をとるとなると、多少の労力が必要になります。
しかし、子どもの生活を維持するために必要と考えれば、多少の労力をかけてでも、養育費を請求する価値は十分にあると思います。
なお、最初は養育費をもらっていたのにいつのまにか支払われなくなったというケースでも、子どもが成人するまでの間は、改めて養育費を支払うよう請求することが可能です。

 ちなみに、母子世帯の母親が、養育費について相談する相談相手として一番多いのが親族(43.9%)だそうで、弁護士に相談する方は12.4%に過ぎないそうです。
弁護士にはなかなか相談しにくかったり、多額の相談料を取られるのではないかと心配されたりするかもしれません。しかし、当事務所では初回相談を無料で行っておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。また、男性弁護士に相談しにくい場合には、当事務所の女性弁護士2名が対応いたしますので、ご安心ください。

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