2010/07
先生,お忙しそうですね
原田 雅紀
「忙しい?」
弁護士同士良く交わす挨拶のような質問です。
とりわけ,弁護士登録した直後などは,同期の弁護士の間で頻繁に交わされる質問です。
しかし,私は,この質問に対して何と回答したら良いのか,いつも迷っていました。
というのも,当時,当事務所の浦田弁護士は毎朝早朝(私がまだ寝ているような時間)から事務所に来て仕事をしていましたし,阿部弁護士は連日深夜(おそらく日付が変わる前後)まで事務所に残って仕事をしていたからです。
ある弁護士は「横浜パークは不夜城だね。」と表現していました。
その2人と同じ事務所で働いている私は,同期からの質問に「忙しいよ。」などと口が裂けても言えなかったからです。
そんな中,たしか登録してから2~3か月が経過したころ,私は医療問題弁護団の新人研修に参加しました。
その研修の講義を担当したベテラン弁護士の方の言葉は今でも覚えています。
「依頼者から『先生,お忙しそうですね。』などと言われたとき,依頼者からいたわってもらったなどと勘違いしてはいけない。それは依頼者の方が事件処理について不満をもっていて,弁護士にクレームを言っているのですから,くれぐれも注意しなさい。」
この数年間,常時,手持ちの事件数は,おおむね80~100件くらい(100件を超えると,ちょっとしんどくなります・・・)。
弁護士登録した直後と比べて,事務処理の効率は上がっているはず(?)なのですが,相変わらず,日々,書面の提出期限に追われながら,朝から晩まで仕事をしています。
そして,最近,自分の依頼者の方々や,仕事上の関係者の方々から,「お忙しいところ申し訳ありませんが・・・」とのお言葉をかけていただくことが増えたような気がします。
もちろん,ほとんどの方は好意で言って下さっているのだと思っている(思いたい?)のですが,そのような好意に甘えてはいけません。
明日から8月。裁判所が夏期休廷期間に入りますので,弁護士は裁判所に行く機会が減り,事務所にいる時間が増えます。
「先生,お忙しそうですね。」という言葉が,皆様からのお叱りの言葉にならないように,頑張って仕事をしたいと思います。