2013/08
弁護士費用特約をご存知ですか?
原田 雅紀
自動車を運転するほとんどの方は損害保険会社の自動車保険(いわゆる任意保険)に加入していることと思います。
ところで,皆さん,交通事故が起きたら,その後の示談交渉はどんなときであっても加入している損害保険会社が担当してくれると思っていませんか?
それは誤解です。
自動車保険に加入していても,全ての場合に,損害保険会社が示談交渉を担当してくれるわけではありません。
例えば,あなたが追突事故の被害に遭ってしまった場合のように,相手に100%の責任(過失)があり,あなたに全く責任(過失)がないようなときは,あなたが契約している保険会社は示談交渉を担当することは出来ませんので,あなた自身が相手本人あるいは相手の保険会社と示談交渉することになります。
また,あなたが歩行中に車と衝突して怪我を負ってしまった場合,あなたが被った人身損害(治療費,慰謝料,休業損害など)については,あなた自身が事故の相手本人や相手の保険会社と連絡をとり,賠償金額の交渉をすることになります。
さらに,保険会社はあなたに代わって裁判をすることはできませんので,賠償金額や過失割合について納得がいかなければ,あなた自身が裁判を起こすしかなくなります。
そのような示談交渉,裁判は,ほとんどの方にとって経験がなく,必ずしも十分な知識があるわけでもないと思います。しかも,相手は保険会社の担当者など交通事故の処理を日常的な業務にしている人たちです。
当然,あなたは不安になったり,気後れすることもあるでしょう。
そうなってくると,あなたも示談交渉や裁判の専門家である弁護士に依頼することを考えると思います。
しかし,弁護士を依頼すると費用がかかります。
そのため,この弁護士費用の負担が障害となって弁護士に依頼することができず,その結果,必ずしも納得できない結論を受け入れざるを得ないような状況,いわゆる「泣き寝入り」を余儀なくされていた方が多くいらっしゃったと思います。
ところが,最近,「弁護士費用特約」という特約が普及してきました。
あなた自身が加入している自動車保険にこの特約が付けてあれば,あなたが弁護士に示談交渉や裁判を依頼するとき,その弁護士費用(一般的には上限300万円)を保険会社が負担してくれるのです。
そして,弁護士費用が300万円を超えるような事件は滅多にありませんので,あなたに弁護士費用の負担が発生することは,ほとんどありません。
その結果,交通事故で困った場合であっても,弁護士費用の心配をすることなく,遠慮なく弁護士に依頼し,示談交渉や裁判を任せることが出来るのです。
しかも,一般的には,この特約を利用できるのは契約者に限られず,その配偶者や同居する家族の方も利用することができます。
ですので,万が一のときに備えて,自動車保険に新たに加入したり,更新する場合は,この特約を付けることをお勧め致します。
ちなみに,この特約を付けたとしても,その保険料は,概ね年間1000円~2000円程度です。
なお,自動車保険に限らず,建物・家財保険などの損害保険に弁護士費用特約が付いていることもあり,また,弁護士費用特約を利用できるのは交通事故の場合に限られません。
もし,あなたが賠償を求めて弁護士に示談交渉や裁判を依頼するような状況になったら,ご家庭の中で契約している損害保険を全て確認してみると良いですよ。