弁護士コラム

2013/10

久しぶりの再会

日向 誓子

 私は、今年の12月、司法修習を終えて弁護士登録してから丸3年を迎えることになりますが、先日、司法修習時代の同窓会がありました。 
 司法修習とは、司法試験を合格した後に、法曹の資格を得るために受ける研修のことで、裁判所、検察庁、弁護士の事務所で仕事に立ち会ったり、裁判手続や書面作成のレクチャーを受けたりしながら実務を学ぶ実務修習と、実務経験の深い裁判官・検察官・弁護士から選任された教官から受ける座学を中心とする集合修習で構成されています。 
 裁判官、検察官、弁護士というと、一般的なイメージとしてはかなり違う仕事のように感じられるかもしれませんが、司法修習では、裁判官、検察官、弁護士のいずれを志望する場合であっても、原則として、同一のカリキュラムの修習を受けることとされています。そのため、司法修習時代のクラスのクラスメイトには、弁護士だけでなく、裁判官や検察官もいて、お互いの職務に差支えのない範囲で、仕事の相談や情報交換をしています。 
 先日の同窓会では、1年ぶりに教官やクラスメイトと再会し、近況報告やそれぞれの仕事ぶりなどに話が弾みました。 
 同窓会の終盤、一人の教官から、「3年目になって、仕事でできることは多くなっただろうけれど、むしろ初心を忘れずに慎重に仕事に取り組むように気を付けなさい。」とのお話があり、非常に印象に残りました。 
 弁護士という仕事は、登録したてであってもプロフェッショナルであって新人だからという言い訳は通用しませんが、一方で、経験を積む中で、過去の経験がかえって先入観となって判断の目を曇らせる可能性がないとは言えません。教官の言葉を改めて肝に銘じたいと思います。

 今月は、もう一つ嬉しい再会がありました。 
私が弁護士登録をして1年目に刑事事件の弁護人として担当させていただいた方が、罪を償って生活を立て直したらきっと報告しますと仰って下さったのですが、その約束の通りに、新しい生活の目途がついたということでわざわざ電話をくださったのです。

 近況報告のご連絡をいただいて、とても励みになるとともに、弁護をしていた1年目の頃を思い出しました。これからも、常に初心を忘れず、職務に取り組むよう心がけていきたいと思います。

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