弁護士コラム

2015/07

終活のお手伝い

阿部 泰典

 先日、私が所属するライオンズクラブの中心となっている方とあいおいニッセイ同和損保の共催による「終活セミナー」なるもの(就活ではありません)に出展企業の1つとして参加してきました。

 そのセミナーでは、エンディングノートがご来場者の方に無料配布されておりましたが、出展企業としては、当事務所の他に、葬儀社、墓石業者、警備会社(安否確認)、保険会社、病院、介護業者、遺品整理業者、工務店(バリアフリー)、旅行会社、税理士、司法書士などが参加しており、ひと口に「終活」といっても様々な業種との関連があるようです。

 弁護士が「終活」の場面で、皆様のお手伝いができるのは、遺言、債務整理、成年後見などと思われます。

 我々弁護士は、遺産分割の協議や調停の代理人として選任されることがあります。遺産争いは、身内の争いではありますが、長期化、泥沼化することが多いです。そのため、お父さん、お母さんとしては、自分が亡くなった後、子供たちの間での紛争を防止するために、誰にどの財産を相続させるかを予め決めておいてあげる遺言書を作成しておくことがよいと思われます。ただ、遺言書を作成しておきさえすれば紛争が予防できるかと申しますと、自筆での遺言書ですと、本当にお父さんが書いたものなのか、誰がかお父さんの筆跡を真似て書いたのではないか、が問題となったり、公正証書の遺言書にしても、相続人に最低限守られる取り分である遺留分を侵害する内容の遺言にしてしまうと、子供たちの間で遺留分減殺請求の問題が生じることになったりします。弁護士は、子供たちの間で紛争が生じないようにするためにどのような遺言書を作成したらよいかについてのアドバイスをすることができます。

 遺言書を作成する必要があるのは財産がある場合で、「うちには財産なんてないよ。借金しかないよ。」という方もおられるかもしれません。しかし、債務も相続の対象になりますので、借金のあるまま亡くなられますと、相続人が債務を承継することになってしまいます。被相続人に財産がなければ、相続人が相続放棄をしさえすればよいともいえますが、相続放棄も家庭裁判所での手続になりますので、そのような手続を子供たちに執らせたくないという場合には、自分が生きているうちに債務の整理をしておくことが必要になります。弁護士は、代理人として債権者と交渉したり、借金を裁判所にチャラにしてもらう手続である自己破産申立の代理人として手続を執ることができます(債務の内容や債務を負うに至った理由によっては債務をチャラにできない場合もあります)。なお、債務の整理をする過程で、返済しすぎの過払い金が見つかる場合もあるかもしれません。その場合には、過払い金を回収するための請求をすることができます(既に完済してしまっているケースでも、時効になっていなければ、過払い金の請求は可能です)。

 最後に成年後見ですが、例えば、一人暮らしのおばあちゃんが、認知症になって判断能力がなくなり、施設に入ってしまったので、空き家を他人に貸したり、売却したりして、おばあちゃんの施設の費用やおばあちゃんに掛かる今後の諸費用に当てたいという場合、家庭裁判所におばあちゃんについて成年後見開始の審判(決定)をしてもらい、成年後見人を選任してもらう必要が生じます。弁護士は、この申立の代理人として手続を執ることができます。

 裁判所に成年後見人を選任してもらう場合、誰が成年後見人に選任されるか分からない場合もあります。自分が元気で、判断能力のあるうちに、将来自分が認知症になってしまった際などに自分の財産管理を任せたい人を予め決めておきたいという場合には、その人との間で任意後見契約を締結しておくことが考えられますが、弁護士は、この契約書をどのような内容にしたらよいかについてのアドバイスをすることができます。

 「終活」に関わる以上のような点で気になる点などがございましたら、ご遠慮なく当事務所までご相談ください。初回相談45分まで無料、土曜日も前日の17時までにご連絡をいただければご相談を承っております。

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