2016/11
弁護士の繁忙期・閑散期
原田 雅紀
年度末や年末に「お忙しいですか?」と尋ねられることがあります。
しかし,実は,私のような「マチベン」と呼ばれる弁護士は,年度末や年末は,どちらかといえば仕事のスケジュールに余裕が出来きて,少し落ち着く時期なのです。
それは何故でしょうか?
答えは,「裁判期日が入らない」からです。
まず,年度末には裁判官の異動があります。
裁判官は3年くらいで他の裁判所に異動することが多いのですが,異動により裁判官が交代する関係で,3月の下旬から4月の上旬までの間は,その裁判官が担当している裁判の期日が入らなくなります。
次に,年末は,冬休みの関係で,12月下旬から1月の上旬まで裁判の期日が入りにくくなります。
また,夏休みは,裁判所自体は開いているものの,裁判官が休暇をとるために,一般的には3週間程度,裁判の期日が入りません。これを夏季休廷期間と言います。
裁判の期日が入らないということは,裁判所に提出する書類を作成する準備の必要がなくなり,また,裁判所に行くこと自体も少なくなるので,裁判所で待機する時間や移動する時間もかからなくなります。
そのため,年度末・年末・夏休みの時期は,時間に余裕が出来るのです。
それでは,弁護士はいつ忙しくなるのでしょうか?
それは,新しい事件の依頼を受けたときです。
事件の依頼は定期的に来るものではありません。事件は突然やってくるのです。
そのため,ほぼ同時期に複数の新しい事件の依頼があると,突如として対応に追われて慌ただしくなります。
しかも,事件の内容が刑事事件や仮差押・仮処分などの必要がある保全事件などの場合は,すぐに着手して必要な手続きを取らなければなりません。
あと,裁判の期日が重なったときも忙しくなります。
ある事件が裁判になっているときは,弁護士は,おおよそ1~2か月おきに開かれる裁判の期日までに(できれば,その1週間前までに),書類を作成して提出することになります。
そのため,裁判の期日が同時期に重なっていると,そのための準備も重なってしまい,忙しくなってしまうのです。
繁忙期・閑散期を作らないためには,年度末や年末・夏休みなどのスケジュールに余裕がある頃や,土日や夜間を利用して(平日の日中は電話対応・打ち合わせや報告書等の作成などで終わってしまうのです。),計画的に裁判の準備をしておくと良いのですが,それがなかなか難しいのです・・・。
ちなみに,このコラムも,予定されていた作成時期よりも大幅に遅れてしまっていたのですが,何とか土曜日の夜に書き上げました。