弁護士コラム

2018/12

初心忘るべからず

浦田 修志

 先日、話題の映画「カメラを止めるな!」をDVDを借りて見てみました。もともと劇場公開は予定されていなかったのに、評判が評判を呼んで上映館がひろがり、全国的なヒットになったようです。
 ネタがばれてしまうので、内容には細かく触れませんが、タイトルや血まみれのポスターからは想像もつかない「おもしろい」映画でした。緻密な構成と脚本で、「なんじゃこりゃ」という前半から一転、後からピースがはまっていく納得感と、笑いあり涙ありの90分で、終わってから一人で画面に向かって拍手してしまいました。
 感じたのは、映画への愛にあふれていて、映画を本当に好きな人が製作したんだなぁということでした。テレビの番組でも、監督のヒストリーを紹介していたのを見ましたが、映画を撮り続ける監督への家族の暖かい応援があったようです。初心を忘れない姿勢や家族観が作品ににじみ出たということでしょうか。
 初心と言えば、我々にも弁護士を志した当初の思いがあります。私の場合、最初に弁護士という職業を考えたのは高校2年生の終わりころ、受験する大学の学部を考える時期だったかと思います。もともと文系科目が得意(理系が苦手)だったので、法学部を受けようと思ったのですが、どうせ法学部に進むなら最難関と言われる司法試験を受けて弁護士になろうという短絡的な発想でした。その後、司法試験の勉強中は、読んだ本の影響もあって検事志望でしたが、合格して司法研修所の司法修習生となり、弁護実務修習で指導担当の先生と出会いました。その修習期間中、個人や中小企業の依頼者のために奮闘し、感謝される先生を間近で見て、弁護士のやりがいを実感し、お願いして入れていただいた先生の事務所で弁護士としてのスタートを切りました。先生からは、いろいろなことを教えていただきましたが、口癖のように言われていたことの一つが、弁護士には知識があっても知恵がない、社会経験を重ねた依頼者や中小企業の経営者には我々ではかなわない知恵がある、弁護士だからといって大きな顔をするな、ということでした。
 それから間もなく四半世紀になろうとしていますが、常に謙虚な姿勢を忘れずに、「特別な人のためではなく、普通の方々のために」という初心を忘れずに、一つ一つの案件に取り組んでいきたいと思います。

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