弁護士コラム

2021/02

遠くなった裁判所

原田 雅紀

裁判所に行くことが減りました。

令和2年春の1回目の緊急事態宣言のとき、ほとんど全ての裁判が止まってしまったため、裁判所に行くことはほとんどありませんでした。
その後、緊急事態宣言が解除され、少しずつ裁判が再開されました。そして、2回目の緊急事態宣言が出ている現在は、1回目のときと異なり、裁判は止まっていません。

それにもかかわらず、令和2年3月以降、裁判所に行くことがとても減りました。
とりわけ東京地裁・家裁にはもう1年以上も行っていません。

何故でしょうか?

私が担当している事件の数が減ったわけではありません。
コロナ禍の影響で、裁判でもweb会議が普及し、電話会議も柔軟に利用されるようになったため、裁判所まで行くことが一気に減ったのです。

本日現在、私が代理人を務めている民事訴訟事件は全部で22件。
そのうち半分の11件はweb会議や電話会議の方法で審理が進行しているため、実際に裁判所に行くことなく、事務所の中で対応しています。なお、実際に裁判所まで行っている事件は、まだweb会議の設備が整っていない神奈川県内の支部(川崎・相模原・横須賀・小田原)や簡易裁判所に係属している事件か、相手方に代理人が就いていないような事件です。
ちなみに、コロナ禍以前は、同じ数くらいの訴訟事件があっても、そのうち電話会議が1件あるかないかくらいでした。

民事事件の裁判期日は書面を提出するだけで終わり、所要時間5分ということも珍しくはありません。
以前は、その5分のために、例えば東京地裁であれば、事務所から片道約1時間かけて移動していました。
それが、web会議や電話会議であれば、事務所の中にいたまま裁判期日に対応でき、移動に時間をかけないで済むのはとても助かります。

だからといって、毎日のスケジュールに余裕ができたという感じは全くありません。
なぜなら、次回期日の調整がしやすくなった結果、次回期日までの期間が以前より短くなり、結果として、書面を作成したり、証拠を準備する期間が少なくなっているのです。
結局のところ、日々、計画的かつ効率的に裁判の準備を進めることが何より大事ということのようです。

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