弁護士コラム

2021/08

第29回司法シンポジウムのご案内

浦田 修志

 今回は日本弁護士連合会のイベントのご案内です。
 本年10月30日、「民事裁判手続のIT化とこれからの司法」をテーマに第29回司法シンポジウムが開催されます。司法シンポジウムは、昭和48年の第1回を皮切りに、おおよそ2年に1回の頻度で開催されており、日本弁護士連合会が主催する大きなイベントの一つです。開催回ごとに運営委員会が組織され、全国の弁護士会や関連する委員会から弁護士が集まり、準備にあたります。
私は、これまで何度か運営委員会の委員になり、司法シンポジウムに携わってきましたが、今回は運営委員会の副委員長兼部会長(第2部担当)となり、かなり責任と負担の重い立場で関与しています。
 今回のシンポジウムの内容を簡単に紹介します。第1部は「IT化がもたらす訴訟活動の変化と弁護士・依頼者間の関係」。本年2月に公表された法制審議会の改正民事訴訟法の中間試案を踏まえて、改正法の解説と弁護士としての留意点、依頼者との関係がどう変わるかなどを取り上げます。書面のオンライン提出等のシステムの詳細はまだ分かりませんが、デモサイトを制作してイメージがつかめるようになっています。
 第2部は「司法弱者」を作らない!~障がい者・高齢者や地域司法の視点からIT化を考える」。障がい者、高齢者等のIT弱者や地域司法の観点からIT化を考えます。IT機器や通信環境が整っていなかったり、使いこなせない方が置き去りにされることのないように、当事者の声を聴きながら、裁判を受ける権利をより充実させるためのIT化のあり方を検討します。また、裁判所支部管内の地域住民にとっては、IT化で便利になる反面、裁判所支部の機能縮小や統廃合の恐れなども指摘されています。IT化のメリットを活かしつつ、デメリットを防ぐにはどうしたらよいかを検討します。
 第3部は「テクノロジーと司法のこれから」。AIとODR(Online Dispute Resolution=オンラインでの紛争解決手続)です。テクノロジーを利用した近未来の紛争解決がどうなるのか、弁護士業務にどのような変化をもたらすのか、ミニドラマやアニメーションを製作して、分かりやすく概観します。
 最後はパネルディスカッションです。大屋雄裕氏(慶應義塾大学法学部教授)、別所直哉氏(紀尾井町戦略研究所株式会社代表取締役)、綿引万里子氏(弁護士/元名古屋高等裁判所長官)、幡野博基氏(弁護士)をパネラーに迎え、将来の法曹像を含めて議論をします。
 当日は会場参加とウェブ配信を併用する予定です。新型コロナの感染状況が深刻なため、ウェブ配信だけになるかもしれませんが、弁護士のみならず一般の方も無料で参加・視聴できます。ご興味のある一部だけでもよいので、ぜひご覧ください。
 参加申込みはこちらのサイトから可能です。

https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2021/211030.html

この弁護士のコラム一覧